水のコラム
宮崎県の湧き水スポット3選~霧島連山の恵みと神話の里の名水~【水道職人:プロ】
九州南部に位置する宮崎県は、古事記や日本書紀に登場する神話の舞台として知られていますが、実は美しい湧き水に恵まれた「水の国」でもあります。
県南部には雄大な霧島連山が連なり、この山々に降った雨や雪が長い時間をかけて地中に浸透し、各地で清らかな湧き水となって現れています。
特に霧島山系から湧き出る水は軟水が多く、まろやかで飲みやすいのが特徴です。
宮崎県の湧き水には、単なる自然の恵みというだけでなく、古代から語り継がれる神話や伝説と深く結びついているものも少なくありません。
水を汲むだけでなく、その土地の歴史や文化に触れることができる貴重な場所でもあるんですね。
今回は、そんな宮崎県の湧き水スポットの中から、特におすすめの3ヶ所をご紹介します。
どこも気軽に立ち寄れる場所で、神話の世界を感じながら清らかな水に触れることができますよ。
目次
霧島連山が育む宮崎の湧き水
宮崎県の湧き水を語る上で欠かせないのが、霧島連山の存在です。
県境をまたいで広がるこの火山群は、宮崎県南部から鹿児島県北部にかけて20以上の火山で構成されています。
霧島連山の特徴は、火山性の地質にあります。
溶岩や火山灰が積み重なってできた地層は、天然のフィルターの役割を果たし、雨水をゆっくりと浸透させながら不純物を取り除いていきます。
この自然の浄化システムによって、ミネラル分を適度に含んだ軟水が生みだされています。
また、霧島連山は年間降水量が多い地域としても有名。
豊富な雨量と山の保水力が相まって、一年を通して安定した湧水量を保っています。
そのため、古くから地域の人々の生活用水として、また農業用水として重要な役割を果たしてきました。
宮崎県内の湧き水の多くは軟水で、口当たりがやわらかく、お茶やコーヒーを淹れるのにも適しています。
この特性を活かして、地元では酒造りや食品加工にも広く利用されており、宮崎の地域産業を支える貴重な資源にもなっています。
神話と伝説に彩られた名水3選
宮崎県には数多くの湧き水スポットがありますが、その中でも特に魅力的な3ヶ所をご紹介します。
日本の名水百選「出の山湧水」
小林市にある出の山湧水(いでのやまゆうすい)は、環境省が選定した「日本の名水百選」に選ばれている宮崎県を代表する名水です。
霧島連山の一つから湧き出るこの水は、毎秒1トンという豊富な湧水量を誇ります。
また、出の山湧水には美しい伝説が残されています。
景行天皇がこの地で泉媛(いずみひめ)という姫君と出会い、姫が献上した湧き水の美味しさに感動して恋に落ちたという、ロマンチックな物語です。
現在、この湧き水は農業用水や水道水として利用されているほか、チョウザメの養殖にも使われています。
水質の良さを物語るエピソードとして、ここではチョウザメの人工孵化にも成功しており、環境省から「ふるさといきものの里」にも認定されているほど。
出の山公園として整備されており、隣接する淡水魚展示館と合わせて楽しむことができますよ。
水源の森百選「綾川湧水群」
綾町(あやちょう)にある綾川湧水群(あやがわゆうすいぐん)は、「水源の森百選」に選ばれた貴重な湧水群です。
深い渓谷に点在する複数の湧き水が綾川に流れ込んでいる、まさに自然の宝庫といえる場所。
この地域の魅力は、湧き水だけでなく周辺の自然環境にもあります。
世界最大規模の歩道つり橋「綾の照葉大吊橋(あやのてるはおおおつりはし)」が架けられており、吊り橋からの絶景を楽しむことができます。
橋の上から見下ろす渓谷美は圧巻で、多くの観光客が訪れる人気スポットです。
綾川湧水群では、地域住民が中心となって水資源の保全活動が行われています。
水を活かした地域づくりも進められており、夏場にはキャンプ場も開設されているそうです。
自然の中で湧き水の恵みを感じながら、のんびりと過ごすことができる場所ですね。
美人になると伝わる「早水公園湧水」
都城市にある早水公園湧水は、美しい伝説で知られる湧き水です。
古い言い伝えによると、髪長姫がこの水を産湯として使ったところ、あまりにも美しく成長したため、皇太子大雀命(おおさざきのみこと)が一目惚れしたという物語が残されています。
この伝説から、早水公園の湧き水で顔や手を洗うと美人になるといわれ、現在でも多くの人が訪れています。
特に女性に人気のスポットで、湧き水口で手洗いをする光景がよく見られます。
早水公園内には6ヶ所の池があり、公園奥の湧水元から流れ出る水が美しく整備されているのも特徴。
残念ながら飲用はできませんが、古くから地域住民に愛される憩いの場として親しまれています。
湧き水めぐりのポイント
宮崎県の湧き水めぐりを楽しむためのコツをいくつかご紹介します。
まずなにより、車でのアクセスがおすすめです。
湧き水スポットの多くは山間部や自然豊かな場所にあるため、公共交通機関では不便な場合があります。
各スポットには無料駐車場が用意されているところが多いので、ドライブがてら複数の場所を回ってみるのも楽しいでしょう。
水汲みをする場合は、事前に飲用可能かどうかを必ず確認してください。
今回ご紹介した中では、出の山湧水は飲用可能ですが、早水公園湧水は飲用できません。
また、飲用する場合は水汲み用の容器を持参することもお忘れなく。
また、湧き水スポットの多くは自然環境の中にあるため、マナーを守って利用することが大切です。
ゴミは必ず持ち帰り、自然環境を大切に保護しましょう。
地域の方々の生活用水として利用されている場合もあるので、大量に汲み取りすぎたり、長時間占有することのないよう配慮も必要です。
訪問時期としては、春から秋にかけてがおすすめ。
新緑の季節や紅葉の時期は、湧き水と一緒に美しい自然も楽しめますよ。
宮崎の湧き水が教えてくれること
宮崎県の美しい湧き水を見ていると、改めて水の大切さを感じることができます。
霧島連山という天然のフィルターによって長い時間をかけて磨かれた水は、私たちに自然の恵みの素晴らしさを教えてくれます。
宮崎県の湧き水地域では、地域全体で水環境を大切に保護する意識が根付いています。
この地域ぐるみの取り組みが、長期にわたって美しい湧き水を守る秘訣といえるでしょう。
神話の地の湧き水めぐりは、厳かな空気に触れながら自然の恵みを体感できる特別な体験です。
霧島連山が育んだ清らかな水と、古くから語り継がれる美しい伝説を、ぜひ現地で味わってみてください。
監修者

主任
甲斐 祐耶
《略歴》
2019年から株式会社N-Visionにて水道メンテナンス業に従事。
社内研修をクリアした高い専門性を有し、水漏れやつまりなどの水道トラブルを累計1,000件以上解決してきたプロフェッショナル。
業界未経験から実績を積み上げ主任に昇格し、お客様からの評判もよく、社内での信頼も厚い。
宮崎県で水回りのトラブルにお困りまでしたら、みやざき水道職人にお任せください。
宮崎のトイレのつまり・水漏れは、水道修理の専門店「みやざき水道職人(宮崎水道職人)」
